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2008年6月16日月曜日

デパ地下物語10.


デパートにはたくさんの人が働いていて、働いているヒトの間には階層が出来上がっていた。階層とは、『生鮮食品(肉・魚・野菜・総菜=ビニールの手提げ袋で持ち帰るもの)』、『生鮮でない食品(菓子・お茶・お酒=箱入りで売っているもの)』、『服飾品(デパートの紙袋で持ち帰るもの)』、『ブランド服飾品(ブランドの紙袋で持ち帰るもの)』というような分類であり、それぞれの服装は、『白衣に白長靴』、『白衣に皮靴』、『デパートの制服』、『かっこいい私服』であった。肉汁の染みた白衣を着た僕たちにとって、黒いワンピースを着て美しく化粧した女性達はなんというかちょっと話しかけることも禁止された感じの高貴な存在であった。社員喫茶室では僕たちはスポーツ新聞を広げてミックスジュース(という白濁した飲みものが必ず大阪の喫茶店にはあった)を飲み、彼女たちは脚を組んでコーヒーを飲み細いタバコを吸った。学校で習った『人間は生まれつき平等』という教えは完全に無力だった。彼女たちが僕らの売り場にやって来て買い物をする時には僕らは汚れた手で彼女たちに触らないように気を付けたし、僕らが用事で服売り場に行く時には自分達のシロナガグツを低俗なものだと思った。仲の良い友達同士が一緒にバイトに採用されて違う売り場に配属されたとしても、階層はふたりを歴然と分断した。僕らは服装が人間の価値を決めることを学んだのだった(あれ?オチがない)。



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