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2008年6月7日土曜日

デパ地下物語6.


多くの食品売り場がそうであるように、ゴーストライターの働いていたデパ地下のハム売り場でも「つまみ食い」は常習化していた。これを読んでいる方々が「デパ地下で店員がつまみ食いしているのを見たことがない」ように、我々も絶対にお客さんに見られることなく、しかし大量につまみ食いをした。売り場はハム、ウインナー、焼豚、ローストビーフ、サラダ各種、コロッケ、ミンチカツ...とよりどりみどりの食材にあふれていた。新人はなんでも食べた。彼等はなぜ先輩たちがハムやローストビーフを食べないのか不思議がった。しかし彼等もすぐにその理由を理解した。ハムもローストビーフもコロッケもサラダも「まずかった」のである。売り場のモノを一通り食べたあとは、誰もそういうものには手を出さなかった。食べるのは、厨房のフライヤーで揚げた粗挽きウインナーであり、焼豚であった。デパ地下ではじつにたくさんのことを学んだが、「食べ物の値段は味にはまったく関係ない」ということもそのひとつであった。



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