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2008年4月23日水曜日

大塚物語4「壁の薄さについて」


古い木造アパートの常として、大塚アパート(仮名)は尋常ではなくカベが薄かった。押入れの背板くらいの厚さのべニヤ版だったかもしれない。しかし薄いのはカベだけではなかった。渡辺トモコとゴーストライターが管理人として入居して2、3日目の早朝、部屋がブイー、ブイー、と振動した。ブイー振動ははたして真上のへやの住人の携帯電話のバイブレーションであった。彼はこの壁の激薄なアパートで誰にも迷惑をかけないように目覚まし時計の代わりに携帯電話のバイブで目覚めており、サイレントモードであるはずのバイブ音はアパートの床を越えてぼくらを目覚めさせるのであった。管理人として、そんな彼に「ちょっとうるさい」ということはとても出来なかった。画像はベランダの花。続く。



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