大塚アパートは風呂なしだったので、風呂屋に行くのは日課だった。風呂屋は400円もした(いまはもっと高いらしい)。2人で30日間で24,000円である。こんなに高いと風呂なしアパートに住む意味がないと思われるが、風呂に「あまり行かなければ」費用は少なくて済むのである。1人で月に10日しか行かなければなんと4,000円しかかからない。今から思えばぼくらの通っていた風呂屋には中国の人が結構たくさんいた。裸だし別にお互い会話をするわけでもないのでそれとはわからないけれども、脱衣所には日本語の雑誌と中国語の新聞が置いてあり、いっしょうけんめい新聞を読んでいる人が時々いた。雨の日も風の日も、ものすごく寒い冬の日も、ぼくらは風呂屋に行ったので、大塚アパートのアラブの大統領に似たおじさんはぼくらが風呂屋に行くのを見かけるたびに「また風呂いくの!?よく行くねえ」と言った。おじさんが週に何回風呂屋に行っているのかはさすがに聞けなかった。写真はおいしい「チリ」。野菜とキドニービーンズとチリパウダーでできている。明日から上海に出張ですので、しばらく「渡辺家のお食事」の連載はお休みです。次回は5月25日予定。
---------------------------------------------------------------