2008年5月17日土曜日
続・大塚物語5「ブラジルみやげ」
大塚アパート(仮名)には、ブラジル移民2世のおじさんも住んでいた。大変心の優しいおじさんで、いつもニコニコしていて、アパートのみんなに好かれていた。渡辺トモコもゴーストライターもそのおじさんのことは大好きだった。彼は年に一度、アメリカン航空に乗ってサンパウロの家族のもとへ帰郷した。日本から強烈な量のおみやげを持って行き、帰りには安い食料品なんかをたくさん買って帰ってきた。僕らやアパートの住民にはなぜか「ネスカフェエクセラ」の大ビンをひとり1本ずつおみやげにくれた。ブラジル製の「ネスカフェエクセラ」は日本の「ネスカフェエクセラ」とほとんど同じ味がした。おじさんは焼き魚が大好きだった。お気に入りの焼き網でアジの開きなんかを丁寧に焼いていつも食べていた。毎月ブラジル銀行の明細が郵便で届いていたから仕送りなんかもしていたに違いないし、それなりに貧乏だったのだろうけど、彼はいつも顔色が良くて、幸せそうだった。台所に行ってブラジルおじさんがいるのを見ると、誰もがちょっとほっとした。写真は渡辺トモコが八百屋で買ってきた激安マンゴー。1個100円。
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