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2008年5月7日水曜日

大塚物語10「住民の引越しについて」


大塚アパート(仮名)にはときどきヒトが引越していたり、引っ越して行ったりした。住民=警備会社のスタッフなのでヒトが出ていくということはなにかの会社を辞めるということであった。なかには会社にいられなくなって不本意ながらアパートを出ていく人もいた。3畳間の部屋を出るとその次はもうないような気がした。そういうときはそれなりに重苦しい引っ越しであった。住民達は大きくて重いヘンな形の置時計とか、わけのわからないウツワとか、様々なものを大切に持っていた。大切に持っていたけれども、引っ越しの荷物を減らすために、最後の日に名残惜しそうにそれをぼくらにくれるのであった。ある日10年以上住んでいた古株のヒトが出ていった。ヒトが出ていくと、その後を整理するのは管理人である渡辺トモコとゴーストライターの仕事であった。10年間ヒトが暮らした部屋にはくっきりと痕跡が残っていた。彼がいつも座っていた場所のタタミは擦り切れて床板が露出し、壁には10年前の地下鉄路線図が貼ってあった。部屋は何日間窓を開け放ってもものすごい匂いがした。写真はアサツキとこんにゃくの炒め物。おいしい。



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