ちぢみのようであるが、大根もち。渡辺トモコは時折食べた時の記憶だけを頼りに料理を作る。若き日のモーツァルトがコンサートで聴いた交響曲を記憶だけでスコアに書き出したのに似ている。彼女が最後に食べた大根もちの記憶は(訊いてみたわけではないが)おそらく約2年前のバンクーバーの飲茶である。バンクーバーには香港人が多い。空港にはキャセイパシフィック機がばんばん離着陸し、中華レストランはどこもハイレベルである。名物のサーモンステーキなんか食べるよりも、同じ値段の中華料理を食べるべきである。バンクーバー市の隣のリッチモンド市は巨大なチャイナタウンで、大規模市場の食材の豊かさと、そのへんで適当に食べる安い中華料理のおいしさは、もはや白人文化の国ではない。リッチモンド市はバンクーバー空港とダウンタウンにはさまれた位置にあるので、機会があったらぜひお立ち寄りください。激うま飲茶ははちきれるくらいおなかいっぱい食べて数百円であり、もっとすごい量を食べてる香港人の皆さんはまったく太っていなかった。
2008年1月25日金曜日
大根もち
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